かむいえくうちかうしやま
 カムイエクウチカウシ山
  登山日: 2012年9月20日(木)〜9月21日(金) 
  標高:1979m(カムイエクウチカウシ山)  1853m(ピラミッド峰)   
  標高差 札内川ダムゲートより約1490m




 9月20日(木)    札内川ダムゲート 5:35 → 札内川ヒュッテ 6:35 → 旧ゲート 6:50
   七ノ沢出合 8:35(〜9:00) → 八ノ沢出合 10:50(〜11:00)
   三股 13:15(〜35) → 八ノ沢カール 15:10
 
 9月21日(金)  八ノ沢カール 4:20 → 稜線出合付近 5:00(〜30)
   カムイエクウチカウシ山 6:10(〜7:00) → ピラミッド峰 8:15(〜40)
   八ノ沢カール 9:15(〜10:05) → 三股 11:25(〜35)
 八ノ沢出合 13:10(〜20) → 中間点付近 14:00(〜30)
 七ノ沢出合 15:25

 

 本日からカムイエクウチカウシ山(以降「カムエク」とします。)に登ります。ハードルの高い山に登るわけですから、登る日をきちんと決めて登りたいところで、一昨年の幌尻岳・神威岳・ペテガリ岳や昨年の大雪山縦走は、北海道遠征の前半を使って予定通り登ることができました。もちろん、そこには好天に恵まれたからというのがあります。今回の遠征では、事前の予報では1週間ずっと天気が悪い予報になっており、特に秋雨前線の影響でまとまった雨が降る予報になっていたことから、仮に天候が回復しても川の増水で登るのは無理だろうということで、今回の遠征からカムエクは一旦外しました。それで、今回のために用意した折り畳み自転車は自宅に置いておくことにしました。一方で当初は今回の中心山行に据えていたことから、未練がましくテント泊用のザックや浄水器、水陸両用の靴などは持って行きました。
【札内川ダムゲート 右手前にダム事務所入口】
 
【雪崩のあった場所】
 当初は北海道行きすらキャンセルしようと思ったのも、現地に着いてみると思った程悪くない天気が続きます。いずれはまとまった雨が降りそうでしたから、その前に勝負を賭けようとも思ったのですが、仮にうまく登れたとしてもガスの中の登山になるのもと思って、道南の山を登りつつ様子を見ることにしたのでした。

 結果としては、天塩岳に登った日に登っていれば快晴だったのでしょうが、この予報が出たのが直前でしたし、この日が登頂日になっていたかどうかもわかりませんでしたので、もし登れていなければこの時に登っていたらと後悔したかもしれませんが、辛抱したのは正解だったのでしょう。
 3日目の天塩岳・ニセイカウシュッペ山に登った後に、4日目の雨の降り具合により5日目からのカムエク登山の判断をすることに決めました。ちなみに、結果としては1泊2日ですが、当初の予定では八ノ沢出合に2泊の予定の2泊3日でしたから、5日目までに出発できなければ今回は断念するつもりでした。

 4日目の余市岳では、稜線ではそれなりに降られたものの思った程の雨は降らず、日高方面もあまり降水量がなかった模様で、念のために日高山岳センターに確認したら、水位はほとんど上がっていないどころかかなり低いとのことでした。

【水位はかなり低いと思われるダム湖】

【立派な道が続く】
 実は水位もネットで調べられるので、恐らく大丈夫だろうと思いつつ電話で確認しました。水位の他ヒグマ情報も確認しましたが、今シーズンは離れた場所での視認のみとのことでしたので、こちらも特別危険なことはなさそうでした。もちろん数多く棲息しているわけですから、安全ということは絶対に言えませんがね。

 4日目の余市岳に登った後、帯広を経て中札内に向かいます。札内川ダムのゲート前はスペースがなく、路肩に駐車するしかなさそうでした。駐車禁止とありましたが、近くを探してもかなり戻らないとスペースらしきものはないため、路肩にとめるしかなさそうです。実際数台既にとまっていました。
 さすがにこの場所で車中泊する気にはなれず、一旦中札内の道の駅に戻って車中泊することにしました。結局帯広までの移動距離もありましたし、現地でもいろいろ行ったり来たりして、寝る時間はかなり遅くなってしまいました。それでも、翌日は八ノ沢出合までの予定でしたから、別にそれほど焦ることもないかなというのが実際のところでした。

 翌日は、道の駅が国道に面していて車が増えて来ましたので、早い時間に出発してゲート前に向かいます。前日に確認していましたから、特に問題なく到着して、準備をして出発です。

【札内川ヒュッテへ】

【ヒュッテには1台の自転車】

【コイカクシュサツナイ岳登山口(左へ)】

【昨年まで入れたゲート前 左には駐車スペース】 

【ゲートの脇を通る】 
 とにかく最初は車道及び林道歩きです。歩き始めて1キロ程で、雪崩の後がありました。見ただけではよくわかりませんが、橋脚が僅かにずれてしまったとか。このくらいなら通して欲しかったななどと思いつつ進んで行きます。なお、トンネルはかなり暗かったのでヘッドライトを点けて進みました。

 1時間程歩くと札内川ヒュッテがあります。この直前には、コイカクシュサツナイ岳登山口もありました。ヒュッテには、寄って休憩を取ることも考えましたが、自転車が止まっていて誰かが宿泊してそうでしたので、そのまま先に進みます。もうしばらく歩くと、昨年までのゲートがあります。ここには、7〜8台程度の駐車スペースがありました。この先は未舗装になっており、まさに昨年までの登山拠点と言えるでしょう。

【ゲートからは未舗装の道】 

【雨量計測地点】 

【かつてはこのあたりにゲートか】 
 ゲート前で少し休憩をしたら先に進みます。コースタイムでは、ここからでも2時間弱あります。途中雨量計測地点があったり、以前のゲートがあったのではないかと思わせるような看板を見ながら進んで行きます。

 時折川の方を見てみると、流れは穏やかで水量も少ないように見えます。結果としては、最低位に近いくらいの水量で、今年は一時増水した時を除けばほとんどこのような状態だということです。昨年大雪縦走の際に会った方の話ではずっと札内川の水位は高かったそうですから、昨年と比較すると良い条件の状態が続いていると言えるのでしょう。

【穏やかな流れを見せる札内川】

【堰堤の手前の穏やかな川の景色】

【七ノ沢出合へ 林道は左奥へ続く】

【七ノ沢出合より八ノ沢方面へ】

【林道の先には立派な橋が続く】  
 右手に堰堤が見えて来て、水面に移る素晴らしい景色を眺めながら進んで行くと、林道が緩やかに下って行き、右の河原に開けた場所に出て来ます。ここが七ノ沢出合になります。林道そのものは続いているどころか、少し先には立派な橋すら見えました。静内まで通すつもりが中断したままになっている日高横断自動車道です。

 ここからは沢を遡上して行きます。今回は、履きにくかった足袋のような沢靴を諦め、水陸兼用の靴を用意したのですが、実線投入していない以上あまり信用できなかったので、登山靴で行けるところまで行きます。

【所々にあるピンクのテープ】

【目印のないところは適当に歩く】

【きちんとした登山道のようになった道も】
 道中にはところどころにテープがありますが、いろいろな色のテープがあって、あまり一貫性がないのと、しばらくテープのない区間もあって、目安にはなるものの、一般の登山道とは違って過信もできないと思います。 

 しばらく河原を進み、川のあるところも無理に回避して来ましたが、明らかな一本道で渡渉が必要になる箇所があったので、靴を履きかえることにしました。ちなみに、ここまでたいした距離も稼いでないので、七ノ沢出合をやや過ぎたあたりで履きかえてしまった方がいいと思います。結局は八ノ沢カールまでは登山靴を履きませんので、多少長い時間履いても変わらないということですね。

【渡渉の必要な箇所】

【沢用靴下&水陸両用靴】  
 今回悩ましかったのは靴なのですが、底がフェルトの沢靴だと、一般の登山道の部分で、岩場や草付きで歩きにくいという記録があったので、水の中でも歩ける靴を使用することにしました。3000円程度で靴としては安物ではないかもしれませんが、アウトドア用のものに比べれば安物かもしれません。底は厚めでゴムです。さらに長時間歩けるようにと、使い古したソールを入れておきました。ソールのせいでやや靴が脱げやすくなったのはどうかと思いましたが、最後まで足の裏が痛くなることがなかったのはその効果でしょうか。いずれにしても、思ったよりよく歩くことができたのはうれしい誤算でした。これは、1泊2日で歩き通せた大きな要因の1つだと思います。
 
【樹林帯を通る】
  
【高巻きから川を見下ろす】
 
【やや歩きにくかった高巻きの道】 
 渡渉後も何度も渡渉が続くと思いきや、踏み跡を辿って行くとほとんど渡渉箇所はなかったりします。地元の方との話では、先の渡渉地点以外は渡渉しなくても進める道があるとか。そこまでは行かなくても、踏み跡を辿って行けばそれほど川の中を歩くことはありませんでした。

 途中トラバースに気味に高巻いて行く箇所がありますが、ここはやや歩きにくく、川が左岸に迫っている箇所以外は河原を歩いた方が速いかなとも思いました。その後、わかりにくい箇所もありましたが、川を遡上して行けば、あさっての方向に向かうことはないので、大きく外れないようにしながら適宜進んで行きました。 

【河原を適当に進む箇所も】
 
【八ノ沢出合テント場】
 やがて、川の右岸沿いを進むルートになります。ここは、若干川の中も歩きながら進んで行きました。というよりも、渡渉ではなく川の中を進んだのはここくらいでしょう。ここを過ぎると八ノ沢出合になります。ある程度適当に進んでもいいと思いますが、ここを見逃さないようにはしなければなりません。

 八ノ沢出合にはテントを張れるスペースが、やや離れた場所も含めて10張分くらいはあるでしょうか。沢の水を使えば水も問題ないでしょう。さて、テントを張ろうかと思いつつもとりあえず休憩をしました。 

【少し進んだところにも数張のスペース】 

【沢の遡上は続く】 

【薄い踏み跡をたどる】 
 この時点でまだ午前11時、しかも林道中心だったため、あまり足も疲れていない状況でした。何よりもこの時点では快晴だったことから、明日も雨までは降らないにしても、晴れている保証もないと思い、八ノ沢カールまで向かうことを決めました。多少道を間違って時間をロスしても、日没までに着かないということはないだろうという計算です。ここが1つのターニングポイントでした。

 出合からは比較的明瞭な道がしばらく続きますが、その後渡渉を交えたあたりから、樹林帯の道を進むか河原を進むか悩ましいところが出て来ます。正直、どちらも当たりとも外れとも言えない道が続きました。このあたりは、あまり神経質にならずに進んで行った方がいいかもしれません。ひどい藪漕ぎになるのなら、少し戻って河原を歩く方がまだいいと思います。
 
【八ノ沢カールとカムイエクウチカウシ山】

【八ノ沢カールのやや下部あたり】

【滝と雪渓】

【巨大な雪塊も】

【一部雪渓を歩く箇所も】
 その後少し小高い位置からカムエクと八ノ沢カールを眺めることができる場所に出ました。逆光気味で少し見辛くなっていたのは残念でしたが、これから登るカムエクの雄姿と本日泊まることになる八ノ沢カールを眺めることができたのは良かったです。

 その後も多少試行錯誤をしつつも進んで行きます。滝が見えてくるようになると三股も近いです。同時にこのあたりでは、まだ大きな雪渓や雪塊が出てきて驚かされます。恐らく雪が降るまでに溶けきることはないでしょう。初夏の段階では怖い雪渓歩きもあるようですが、この時期では雪渓の上を歩く区間は短く危険箇所もなく進んで行けます。
 
【徐々に近づく三股の滝】

【岩のごろごろした道を登る】

【滝を見上げて】

【登山道は中央右奥の左岸に ピンクテープもあり】

【出合方面を振り返る】
 
【左岸の急登を登る】
 その後も沢沿いの大岩を越えながら進んで行くと、やがて三股に到着です。ここからは見事な滝を見上げることができます。それと同時にこのあたりでは、上部がガスに覆われて来ていました。残念でしたが、ここまで来たらカールまでは登ってしまうしかないですね。

 登る場所を間違えないようにと思って奥の滝の左岸に取り付きましたが、踏み跡がある上にピンクのテープもばっちりありますので、間違って手前の沢を詰めるようなことがなければ迷うことはないと思います。ちなみに、三股からの道はピンクのテープが丁寧についていて、どちらともいえない分かれ道ではかなり重宝しました。過去レポを見る限りでは、このあたりはみなさん苦戦されている一方で、今回迷うことなくすんなり登れたことから、最近付けられたテープなのだと思います。
 
【道に見えない岩場を登って】

【さりげないトラバースですが意外と注意が必要か】 

【笹をかき分けるような場所も】
 道は、確かにすごい急登もあって、正直テープがなければ本道とは思えない場所もありました。笹薮を突破する箇所もありますが、藪漕ぎというほどではないと思います。逆に明らかな藪漕ぎがあるようでしたら誤ったルートなのかもしれません。

 ある程度登った頃、滝沿いの落ち着ける場所があったので、休憩すると同時に水を汲んでおきます。実際の所はもっと上でも採れたと思いますが、後で慌てるよりはと思って汲んでおきました。今回は既にカールには雪が残っておらず、水を汲んで行って正解でした。昨年大雪縦走で活躍した浄水器を今回も活用することができました。

【大岩の上を歩いて】

【休憩&水を補給した場所】

【小さな滝が続く 右手に登山道】

【唯一の岩壁のような場所】
 その後は、三股からの登り始めよりはまだ歩きやすいですが険しい箇所が出て来ます。ロープのかかった垂直に近い岩場がありましたが、ここが唯一三点支持が必要な箇所だと思います。それも、それほどの高さがあるわけではないです。

 ある程度登った後は、急登もそうですが、足元がかなりザレているので、岩を落とさないように神経を使いました。ようやく上部が見えなくなって、登って行くとようやく八ノ沢カールに到着です。まさに別世界の景色ですが、ガスがカールにまで下りて来ていました。少し歩いて行くと、テント場や慰霊碑などが見えて来ます。

【そろそろ八ノ沢カールへ】

【ガスの下りてきたカール】 

【テントと学生のグループが 中央は慰霊碑】

【慰霊碑】
 すると、テント場付近に人が見えます。人がいないと勝手に思い込んでいたので、最初ヒグマがいるのかと思ったくらいですが、色ですぐにわかりました。あてにしていたということはないのですが、テント泊をするに当っては心強いです。地元大学の山スキー部の4名のグループでした。

 テントを張った後は、若干散策をして慰霊碑にお祈りをした後、翌日に備えます。一気に秋らしくなったのか思ったよりも肌寒かったです。夜はぱらぱら雨が降って来て、翌日の天候が懸念されましたが、朝には晴れていることを祈りつつ寝床についたのでした。

【稜線方向は完全にガスの中】
 

【緩やかに登る(下山時)】 
 夜はどうしてもヒグマのことが気になるところでしたが、近くにグループがいて多少安心感があったのと、実際に気配を感じることもなく思ったよりもしっかり寝ることができたと思います。ここ数日で一気に下がった気温も気になるところでしたが、思った程下がりませんでした。

 この時期になると夜が長いので就寝が早く、起きる時間も早かったので夜明け前の出発を考えたのですが、やはり場所が場所だけに少しは明るくなってからの出発としました。ヒグマ以前に暗がりでのやせ尾根通過は危険ですから、このくらいでちょうど良かったのかもしれません。ただ、どこからだと御来光が見えるのか、夜明けの景色を見るのにいい場所はどこなのかがわからなかったので、そのへんは歩きながら考えることにしました。
 まずは、前日確認しておいたように、カールの奥を稜線に沿って緩やかに登って行きます。右手に稜線を眺めながら、と言ってもこの時間はほとんど見えていませんが、トラバース気味に付けられた道を歩きます。踏み跡は明瞭です。ただ、稜線に上がる分岐が何箇所かあってどちらを行くか迷った末に、急登を上がる分岐を避けて、やや遠回りになりますが、緩やかに登って行けそうなルートをとります。道は若干両脇の草が当たる程度の道で悪くはなかったのですが、登山道上に3箇所程ヒグマの糞があったのには参りました。かなり以前のものもありましたが、つい最近のものと思われるものもあり、気配こそ感じませんでしたが、やはりヒグマ達の棲家に入ったのだと実感せざるを得ませんでした。
【トラバース気味に進む(下山時)】

【稜線への急登(下山時)】

【夜明け前のピラミッド峰】

【夜明け前のカムエク(中央奥) 左は手前のピーク】

【徐々に明るくなる地平線】
 急登の後緩やかな登りになります。実はこの時にピラミッド峰への分岐を見落としていて、後で登る時に苦労することになります。この道を登って行くと稜線に出ると同時に、少し落ち着けるだけのスペースがありました。ここが稜線出合だと思い、日の出の時間を考慮してもこれ以上進んだところでハイマツの藪の中にいる間に夜が明けてしまいそうでしたので、ここで待機することにしました。

 写真では暗くていまいちですが、夜明け直前の荘厳な雰囲気も良かったです。この場所だとカムエクが手前のピークのために辛うじて山頂が見える程度なのが少し残念でしたけれども。 

【昨日歩いて来た沢筋の道を見下ろして】 

【ピラミッド峰の肩より御来光】

【夜明けの太陽】 
 しばらく待っているとピラミッド峰の肩から太陽が昇って来ました。ピラミッド峰の奥からで見えないのではと思ったのですが、ぎりぎり地平線から昇る御来光を見られたのではないでしょうか。どこで見ても素晴らしく同じように見えるのですが、やはり周囲の景色が変わるとまた違うものです。特別な思いで登った山だけに、また御来光も特別なもののように思えたのでした。

 振り返ってみると見事に紅く染まったカムエクを眺めることができました。夜明け前に登って来た甲斐があったと思います。この頃には大学生のグループがピラミッド峰を登っていました。

【朝日を浴びるカムエク】

【ハイマツ帯より手前のピークを見上げる】 
 御来光を眺めたらいよいよカムエクに向かうことにします。まずは、なだらかな稜線をハイマツを押しのけながら進みます。このあたりはかなり突き出ているので押しのけるという言葉がぴったりでしょう。先が思いやられますが、カムエクまでの道ではひどいのは最初だけです。

 その後は岩峰の続くやせ尾根地帯に入ります。過去の記録でも注意すべき場所となっていますが、脇をハイマツで覆われているせいか高度感はそれほどありません。また、特に難所と言うほどの場所はありませんので、神経を尖らせるほどではありませんが、一歩一歩慎重に進んで行きます。

【尾根の岩峰とカムエク】

【ハイマツに覆われた斜面】

【いよいよ山頂へ】

【太陽は雲の中へ】

【1張分のテント場】
 やせ尾根を過ぎるといよいよと思いますが、もうしばらくピークに向けて登って行きます。山頂直下はなかなか歩きやすい道になっていると思います。最後山頂に出る手前には1張り分のテントを張るスペースがありました。ここでテントを張れたら最高の御来光と夜明けの景色を眺めることができるでしょうね。

 そしていよいよ山頂に到着です。見事なパノラマの景色が広がっていて三角点があるので、ここが山頂に間違いないとは思うのですが、よく記録で見ていた頂上碑がありませんでした。ペテガリ岳でも出会ったようなあの独特の頂上碑と写真を撮りたいなと思っていたので、この点だけは少し残念でしたね。

【カムエク山頂へ】
 
【北方への稜線 左奥が幌尻岳】

【南方の眺め 左端がピラミッド峰 中央左がコイカク 中央奥に1839峰】 

【頂上碑がないので幌尻岳をバックに】 
 山頂からは北側に目を向けると縦走ルートが見えると同時に、一昨年登ったどっしりとした幌尻岳を眺めることができます。また、その奥に目を転じると昨年縦走した大雪の山々も見ることができました。また、南方に目を転じると、歩いて来た稜線やピラミッド峰に加えて、一昨年登ったペテガリ岳や神威岳を眺めることができました。南北から眺めたカムエクの山頂に今立っているのだと改めて実感させられたのでした。決して派手な景色ではないと思いますが、いろいろな思いのある景色を眺めて、結局1時間程山頂で過ごしていたのでした。ピラミッド峰に寄るには長い時間を過ごし過ぎたかなと思いましたが、最高の景色のカムエク山頂にいては仕方がないでしょう。

【左奥より幌尻岳〜戸蔦別岳〜1967峰〜ピパイロ岳】 

【幌尻岳】 

【戸蔦別岳】

【1967峰】

【奥には大雪の山々 中央奥が旭岳 中央右がトムラウシ 右端がニペソツ山あたりか】 

【山座同定が怪しいですが 左奥が神威岳 中央左奥がペテガリ岳 右が1839峰】 

【左のピラミッド峰と右のコイカクへの稜線】 

【八ノ沢カールと沢を見下ろして】

【朝御来光を眺めた場所へ】
 素晴らしい展望を惜しみつつ下ります。途中八ノ沢カールやピラミッド峰を眺めながら下って行くとあっという間に御来光を眺めたスペースに到着しました。相変わらずのいい天気と言いたいところですが、カムエク山頂にいた頃から太陽が雲に見え隠れしていたのが贅沢な話ですが少し残念でした。

 さて、次はピラミッド峰を目指します。実は、このスペースが稜線出合だと思っていたので、この場所からピラミッド峰を目指してみたのですが、踏み跡らしきものは続いていますが藪がひどすぎてなかなか進めません。藪漕ぎ初級とあったので、さすがにこれはないのではと思い少し戻ってみることにしました。

【筋状の雲が広がる】

【シマリス】

【ハイマツ帯の奥に聳えるピーク】

【急登が続く】
 戻ろうとしたちょうどその時シマリスを見ることができました。 本当に短い時間でしたがかわいい姿を見ることができて良かったです。

 少し下って行くと、ピラミッド方面に向かう道を見つけることができました。恐らくまだ暗い時間帯だったこともあって登って来た時には気づかなかったのでしょう。本道もそれなりに藪漕ぎはありますが、体が浮くほどひどい場所はありませんでした。それでも、登りではなかなかしんどいものがあります。ある程度登った後は急登の連続になりますが、むしろ急登に入ってからの方がハイマツがうるさくなくて助かりました。

【正念場のハイマツ漕ぎ】

【山頂へ】

【山頂とカムエク】 

【唯一の小さな頂上碑】
 岩場を交えた道を登って行くとピラミッド峰に到着です。藪漕ぎとしては楽なレベルということですが、やはり慣れないこともあって大変でした。山頂は小さなかわいい頂上碑があるだけでした。

 山頂からの展望はカムエク同様に遮るものもなく素晴らしいです。日高南部の眺めは特に素晴らしいものがありますが、ピラミッド峰に登った最大の目的はこの位置からのカムエクです。ただし、太陽が雲に隠れてなかなか明るい状態で眺めることができませんでした。残念ながらすっきりとした状態では見られなかったものの、少し明るくなった時間帯もあって、思い描いていたような見事なカムエクを見られたのは本当に良かったと思います。

【コイカクと南方の山々】 

【自分のテント(中央)を見下ろして そのすぐ右に学生グループのテントがありました テントのすぐ左上に慰霊碑】

【1839峰】

【太陽の位置の関係で光の濃淡はありますが堂々としたカムエク】

【ハイマツ帯の下り】
 ピラミッド峰の景色もカムエクに劣らず素晴らしかったです。カムエクの時と同様に太陽が出ていたらさらに素晴らしかったと思います。もちろんカムエクの絶好の展望地ですが、八ノ沢カールの眺めや南方の山々、特に1839峰の雄姿には心魅かれるものがありました。

 山頂からの景色は名残惜しいですが、まだ先も長いので下山開始です。ハイマツ帯の急斜面を下って行きます。さすがに、登りと比較すると藪漕ぎは全然楽ですね。ただ、間違った方向に体重をかけないようにしないといけませんが。途中でも何度も写真を撮りながらカールまで下ったのでした。 

【少し下ったところよりカムエクと八ノ沢カール】 
 
【何度も撮ってしまうこの構図】

【八ノ沢カールともお別れ】

【最後に残った自分のテント】 

【ロープのかかった急な岩場】
 テント場に到着したらゆっくり撤収開始です。それなりにはてきぱき片づけたつもりですが、いつものように1時間弱ほどかかりました。これで八ノ沢カールも見納めになります。沢へ下る急な斜面に入る前に何度も振り返ったのでした。

 三股までのルートはテープがしっかりとしていたはずなのですが、1箇所間違ってしまい登り返すことになってしまいました。テープはしっかりついていたのですが、道が自然にその方向に向かってしまうような場所で、漫然と歩いてしまったのでした。その後、若干急な岩場も慎重に下って行きます。ただ、登りでも書きましたが、しくじって危険なのは、ロープのかかった岩場のトラバースでしょう。足もきちんと置けて難しくはないのですが、足を滑らせると滝まで行ってしまうと思います。

【三股を振り返る 空は雲に覆われて】 

【雪渓を越えて】
 三股まで下って来て一息つきます。特定の場所が危険というわけではないのですが、やはり全体的に急斜面が続きますので、どうしても一歩一歩慎重にならざるを得ません。しかし、注意すべきはこのような場所を通過した後で、八ノ沢出合までの道で岩場を渡って行くところで少し足を滑らせて指先を怪我してしまいました。怪我と言ってもただのすり傷なのですが、最後まで油断してはいけません。

 八ノ沢出合にはテントが2張ありました。それぞれ単独の方で、1人はピラミッド峰に登る時にカムエクに登っていて、もう1人は八ノ沢カールに下る際にすれ違いました。どちらも単独の方で、意外と単独の方も多いのかなと思いました。

【八ノ沢出合のテントは2張】 

【川をじゃぶじゃぶ渡って】 
 
【七ノ沢出合へ】
 八ノ沢出合からはひたすら川沿いを下って行きます。途中で出会った方に道を教えてもらったので、ほとんど渡渉をしないで戻って行くことができました。あちらこちらに踏み跡があるのですが、歩きやすいルートというのはやはりあるようです。

 七ノ沢出合に到着して、そのまま無事にゲート前まで戻って来ることができました。当初登ることすらできないと思われたカムエクに、八ノ沢カールに泊まったうえに素晴らしい展望に恵まれて本当に心に残る山行となりました。2日間快晴続きというわけではなかったのですが、ここまで日程を我慢した甲斐があったかなと思います。
 今回は、札内川の水位が最低レベルであったこと、三股〜八ノ沢間の目印が豊富であったという幸運もあって、多少のルート誤りやピラミッド峰への登りの藪漕ぎで難儀したことを含めても比較的順調な山行となりました。ただ、ここまでの北海道遠征5日間でよく体がこなれて体力的にはピークに持ってこれたこと、カムエクに関する記録は散々読み込んだこと、いざという時のためにGPSを持っているという安心感があったことや沢登りの経験はないとはいえ、幌尻岳や神威岳に登る際にこのような川を遡上する歩きをしていたこともプラスに作用していたのは確かだと思います。
 三百名山で最難関の山というのは大げさではないと思いますが、条件の良い時にきちんと準備をしていけば無理な山ではないと思います。逆に日程の関係で天候の悪い時に入ったり、ルートがシミュレーションできないような状態で入山すると牙を剥かれることにもなりかねないと思います。また、ヒグマについては、八ノ沢カール以降のことだと思っていましたが、林道含めて出るときは出るようですので、常に厳重な警戒をする必要はありませんが、余裕のある時、見通しのいいところでは必ず確認しておいた方がいいでしょう。鈴だけでは逃げて行かないヒグマもいるということですので過信は禁物だと思います。


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