かさがたけ・すごろくだけ・みつまたれんげだけ
 笠ヶ岳・双六岳・三俣蓮華岳
       登山日: 2015年5月22日(金)〜23日(土)   
        標高:2662m(大ノマ岳) 2898m(笠ヶ岳) 2860m(双六岳) 2841m(三俣蓮華岳)


 5月22日(金)    新穂高温泉 5:00 → 小池新道入口 7:15 → 大ノマ乗越 11:00(〜12:50)
   秩父平 14:00 → 笠新道分岐 15:20 → 笠ヶ岳 16:40(〜17:00)
   笠新道分岐 17:50 → 秩父平 18:40 → 大ノマ乗越 20:00
     
 5月23日(土)    大ノマ乗越 4:35 → 双六小屋 6:15 → 双六岳 7:50 → 三俣蓮華岳 9:05(〜35)
   双六小屋 11:00 → 大ノマ乗越 12:40(〜14:00) → わさび平小屋 15:30(〜16:00)
   新穂高温泉 17:00

 

 本日から笠ヶ岳に登ります。この週末は天気が微妙でしたので、前週の白馬三山で雪山締めとする予定でしたが、金曜日に休暇が取れて、金土であればそれなりの天気であったことから、雪山締めのために笠ヶ岳登山を決行することにしました。2泊するかどうか、笠ヶ岳以外の山に登るかどうかは、その時の状況によって判断することにしました。できれば笠ヶ岳の他に双六岳や三俣蓮華岳を登りたいと思っていましたが、さすがに2泊しなければ難しいかなと思っていました。むしろ2泊できるのなら、鷲羽岳も可能であれば登りたいと思っていました。

 木曜日の夜現地に向かって出発します。平日ですので、そんなに早い時間には出発できず、夜中に新穂高温泉に到着です。この時期の平日ですので、登山者駐車場は一番最寄りの区画ですらがらがらでした。少し仮眠をとってから出発します。さすがに眠かったのですが、遅くなればなるほど、暑くなりますし、何より雪がどんどん緩んで歩きにくくなることから頑張って歩き始めることにしたのでした。

【がらがらの登山者駐車場】
 
【静まりかえっている登山指導センター】
 登山届は既にネットで提出していたのですが、登山指導センターでも提出しておきました。なお、係員の方は不在で、他の登山者も全くいませんでした。夏であれば大賑わいの新穂高温泉ですが、誰にも会うことなく静かに歩いて行きます。車道を歩いて行って、ゲートを通過して林道を歩いて行きました。

 新緑が見事でしたが、同時に沢筋にはまだまだ雪が残っていました。少し歩いた先から見えた穴毛谷は、ちょうど直前に登った記録がありました。さすがに、このルートは手が出せませんが、地形図を見る限りでは効率よく標高を稼いで、うまく杓子平に合流できるようです。

 林道は随所に崩壊が見られたのが特徴的で、林道上はきれいに片付けられていたものの、いつ落石が起きてもおかしくないような斜面が時々見られました。

【林道ゲート】

【新緑の眺め】

【対岸にべったりと残った雪塊】
 林道を歩いている間はまだ良かったのですが、やはり雪山テント泊のザックは重かったです。少しでも登りになるとしんどかったでしょうか。やがて橋を渡って水場を経てしばらく歩くと笠新道入口があります。今年は雪解けが早いので行けなくはないかもしれませんが、杓子平へ出る手前は雪が残って恐らく急斜面のトラバースが必要になるのと、当然杓子平からは急斜面の登りが待っています。日帰り装備ならまだしも、雪山テントザックでは厳しいような気がします。

 笠新道入口を過ぎると大規模な雪渓を越える場所があって、その後は間もなくわさび平小屋です。この時期は営業しておりませんので、完全に閉められていますが、トイレは使えるようになっていたようでした。休憩もそこそこに先に進みます。途中林道に川のように水が流れていたり、その後に巨大雪渓があって、まさかよじ登った後にかなり下ることになったりするとは思いませんでした。落石も多いですし、この時期は林道歩きとはいえ油断できません。

【穴毛谷が見えて 直近でここから登った記録がありました】
 
【崩壊した箇所の多かった林道】

【笠新道入口】

【山の際より夜明けの太陽が】

【雪渓に登って横切って行く】

【閉鎖中のわさび平小屋】

【川のような林道】

【立ちふさがる雪渓】

【林道の途中でこんなに登り下りするとは思いませんでした】

【小池新道入口より中央奥の大ノマ乗越へ登る道を眺めて】

【凄まじい落石】
 その後、小池新道入口に到着です。ここまでは、いろいろ障害があったものの、やはり基本的には林道歩きでしたので順調だったと思います。

 入口付近が今回歩いた中で一番斜面の崩壊がひどく、左手を見上げると途中で引っ掛かっている大石も見えてかなり恐ろしいものがありました。実際通り道にも多数の岩が転がっていて、特にその岩の大きさにはなかなか見ない規模の落石に思えました。雨などが降ったら絶対に通りたくないと思ったのですが、それが、頑張って1泊2日で帰って来た最大の要因だったりします。

 雪渓はどこを歩くか迷うところですが、前日に下った方のトレースが残っていましたので、それを借りて登って行きます。ただ、それがなくても基本的には奥の雪渓に向かって登って行けば問題ないでしょう。小刻みなアップダウンを繰り返しながら進んで行きます。雪は程々の硬さでアイゼンなしで歩くにはちょうど良かったです。

【雪渓をうまく伝って進んで行きます】

【振り返ると左手には穂高連峰 右には焼岳と乗鞍岳が見えてきました】

【焼岳と乗鞍岳】

【徐々に急斜面へ】

【左に槍ヶ岳も見えて】
 
【乗越に乗り上げる手前が特に急斜面でした】
 しばらくは登りでも緩やかな斜面が続きますが、シシウドヶ原を越えたあたりかは徐々に斜度が急になって来ます。恐らく鏡平山荘への分岐もこのあたりだと思います。時期が時期ですのでどちらもほとんどトレースはありませんが、この時期は鏡平山荘から登って行くのは厳しそうです。

 その後は、急斜面を登って行きます。急斜面が始まったあたりでは結構落石がありましたので、注意して進みます。上部も雪解けが進むと落石が多くなるようですので、上部を確認しながら進んだ方がいいでしょう。それでも、前週の白馬三山を歩いた時に比べれば落石は少なかったです。

 このあたりの登りでは本当にペースが上がらなくて、ほとんど進んでいないような感じで大変でした。時々振り返ると槍穂の絶景が広がっていて癒されましたが、結局最後の急登を登って大ノマ乗越に到着した時には、既に出発してから6時間がたっていました。

【槍穂の絶景が広がって】

【見事な穂高連峰の眺め】

【大ノマ岳への壁のような急斜面】

【テント設営跡 結局もう少し下に設営しました】
 この後の行動をどうするかもありましたが、まずはテントの設営です。少し弓折岳方面に登ったところにテント跡地があって良さそうだったのですが、ちょっと鞍部から吹き上げる風が気になったので、結局鞍部近くまで下った場所に設営することにしました。結果論ですが、笠ヶ岳に向かうのでしたら、さっさと設営するべきでした。結局場所探しから、念入りに雪を掘ったので結構時間がかかってしまいました。結局、落ち着いたのは12時半過ぎだったでしょうか。思ったよりも大ノマ乗越への登りで時間がかかってしまって、全体的に遅くなってしまったのでした。

 この後どうするのかですが、結果論から言えば笠ヶ岳に行くべきではなかったでしょう。1泊しかしないのなら翌日は笠ヶ岳に行って下山、2泊できればその翌日に双六岳方面に歩くべきだったと思います。日が長いのでCT通りで行ければ何とか明るいうちに、と言っても19時ですが、帰って来られる計算でした。ただし、残雪期で登山道がどのような状態であるのかわからないことを考えれば厳しかったと言わざるを得ません。そもそも、大ノマ乗越への登りで体力を随分消耗していました。

【環天頂アーク】

【テントからの展望】

【このような場所に設営しました】
 それと大変だったのが戻ってから水を作り始めたことで、水を作って食事を取り、翌日の準備をして寝たのが夜12時前と、テント泊では考えられない程遅い時間となりました。

 このような中で向かったのは天気予報で翌々日の午前が雨になっていたことでした。降ってもそれほど多くはなく、荒れることはなさそうだったのですが、どうしても落石地帯が気になってしまい、この予報でほぼ翌日には下山することに決めました。ちなみに、予報は外れて、翌々日も展望があったのかはわかりませんが、結果的には晴れています。翌日まで天気がいいのなら笠ヶ岳だけでなく、双六岳方面も歩いておきたいという欲張りな考えが浮かんだことで、この日のうちに笠ヶ岳まで登っておこうということになりました。
 まずは、大ノマ乗越に着いた時から気になっていた、雪壁のようにしか見えない急斜面を登って行きます。基本的にはピッケルノーアイゼンで行くつもりでしたが、トレースは当然全くなくて、雪もあまり蹴りこめなかったので、素直にアイゼンを装着して登ります。

 急斜面を登り切ると淡々とした緩やかな登りが待っています。思ったよりも長い登りですが、大ノマ岳付近までは比較的歩きやすい道が続いていました。

 問題は大ノマ岳付近を過ぎてからで、元々トラバース気味の道が続いていて、その上にまとまった雪が乗っているのですが、山側の雪が解けて部分的にかなりのナイフリッジになっている箇所があったことでした。特に岩場の山側の溶け方がすごくて、1箇所痺れるようなナイフリッジがありました。特にその雪自体も結構柔らかかったので、バランスを崩さないように慎重に進みました。

【最初からすごい急斜面です】

【双六岳】

【笠ヶ岳からの稜線が見えて】

【慎重に歩く】
 大ノマ岳からは緩やかに下って行きます。中途半端に雪が解けて少し藪っぽいところもありましたが、道を塞ぐほどではありませんでした。ハイマツ帯を抜けていると雪原に出ましたがここが秩父平です。最終的に稜線の肩に上がるのはわかるのですが、そこまでどう行くのかがわからず少し悩みます。夏道ですと、そのまま道なりに登って、肩までの急登は九十九折れになっているようです。

 あまり左に寄ると切れ落ちているのが見えていましたので、尾根をちょうど斜めに横切るわけですが、途中まで行ってみるとなんと部分的にアイスバーンがあって、ほとんど足が蹴りこめません。ここは、さすがに落ちたらまずいので、少し戻ってアイゼンを装着してから登りました。アイゼンがあるならと直登気味に岩場の脇に出ようと思ったのですが、なんと急斜面にクラックがいくつも出ていたので、結局予定通り斜めに抜けて行ったのでした。最後の肩に登るところはどこから登っても急斜面ですので、そのまま登って行きます。肩に出ると、その後は雪がありませんので、アイゼンを外しました。

【下に登山道が見えている場所はまだ安心して歩けます】

【稜線を見上げながらのトラバースは続く】

【秩父平からの登り 中央から左上に登って行く 中央の岩付近のクラックが怖かったでしょうか】

【しばらくは夏道の露出した稜線歩き】

【黒部五郎岳と青空にたなびく雲】

【堂々たる笠ヶ岳】

【雪渓をトラバースする場所も】

【笠新道分岐】
 しばらくは九十九折れに登りが続きます。やはりこの時間になると疲労は隠せず、撤退も時々考えるようになります。それでも、雪がない道は惰性でも歩いて行けるので、このあたりはそれなりのペースで歩いて行けました。むしろ時間がないということで、飛ばしていました。笠新道分岐まではあまり雪がないのですが、長い雪渓もありますので、慎重に進みます。とはいえ、雪がかなり緩んでいますので、ピッケルがあれば下まで滑落ということはまずなさそうでした。

 やがて笠新道分岐に到着です。笠ヶ岳まではまだ1時間以上あるうえに、この先は稜線にも思ったよりも雪がありそうでした。体力はまだ残っていましたので、とりあえず先に進むことにしました。笠ヶ岳までは結構なアップダウンがありますので、結構疲れます。しかも、稜線にも結構雪が残っていますので、雪道の登りはしんどかったです。それでも、歩いていれば徐々に笠ヶ岳に近づいて行きます。どんどん曇って行くと思っていた空模様ですが、むしろ時々雲が抜けて笠ヶ岳に日が当たる時間もありました。青空に素晴らしい景色に励まされながら歩いていたような気がします。

【笠ヶ岳へ続く稜線】

【黒部五郎岳と右奥に薬師岳】

【雲が抜けた時には何度も写真を撮って】

【思ったよりも雪が残る稜線】

【意外と緩やかだった笠ヶ岳山荘手前の雪渓】

【笠ヶ岳山荘】
 笠ヶ岳山荘に近づくとやや急な登りが待っています。その後、山荘への登りとなるのですが、ここの登りの斜度が思っていたよりも緩くて少し拍子抜けしてしまいました。ただ、登りは登りですので、しんどいことには変わりはなかったです。当然この時期は山荘はまだやっていません。少し休憩をしたいところでしたが、とりあえず時間もありませんので、山頂まで行ってから写真を撮りつつ休憩を撮ることにしました。

 山荘の裏手から雪渓を登って行きます。途中で夏道に入って、最後雪道を登って行くと祠の前に出ます。さらにもう少し歩くと笠ヶ岳山頂です。既に4時半過ぎですが、慌てたところで疲労感が増すだけですので、景色を眺めたり写真と撮ったりしながら休憩を取りました。ついでにセルフで写真も撮ったのですが、よほど時間に余裕のあった翌日の双六岳や三俣蓮華岳では撮らなかったのに、時間のない笠ヶ岳ではセルフで写真を撮っていたのだから面白いものです。

【山頂手前の祠】

【笠ヶ岳山頂へ】

【下に置かれた頂上碑】
 さすがに5時になったので下山開始です。まずは笠ヶ岳山荘に下って行きますが、斜度もほどほどで雪も滑りやすかったのでシリセードをしてみました。このあたりは基本的に下りなので快調でしたが、やはり疲れていますので、その後のアップダウンは結構しんどかったでしょうか。それでも、時々笠ヶ岳の雄姿を振り返りつつ進んで行きました。

 笠新道分岐まで頑張りましたが、CTを僅かに縮めた程度でした。既に夕方6時前ですので、秩父平あたりで暗くなるかなと思いつつも、暗くなる前にできるだけ稼いでおこうと進んで行きます。秩父平から登山道に入るあたりが逆方向だと少しわかりにくそうでしたので、そこまでは明るいうちに抜けることを目指します。その後はナイフリッジが怖いとはいえ、道を迷うことはあまりないと思っていました。実際秩父平に下る頃にはきれいな夕陽、そして雲がかかっていたので一部でしたが、夕陽に染まる槍穂の稜線を眺めることができました。焦りはないものの、正直疲れ切っていたという感じでしょうか。ただ、最後の最後に雪壁が待っているので、いい意味で集中力を切らさずに歩くことが出来たのは良かったです。

【歩いて来た稜線と槍ヶ岳】

【槍穂の稜線】

【焼岳から乗鞍岳の山並み】

【穂高連峰】

【セルフ失敗作】

【その後何枚か撮ったうちの1枚】

【いよいよ下山です 最初は下るだけですのでむしろ楽しいくらいです】

【シリセードの跡を振り返る】

【抜戸岩 中ほどは中途半端に雪が解けて細い道になっていて歩きにくかったです】

【笠ヶ岳を振り返る 結局雲にすっかり覆われることはありませんでした】

【大ノマ岳を見下ろして 地形図上ではそうは思わないのですがここからが長かったです】

【日没へのカウントダウン】

【アーベントロートに染まる槍ヶ岳】

【稜線の肩より急斜面を絶景を見ながら秩父平へ下って行く】

【雲がなければ真っ赤に染まったでしょうか これでも充分夕陽に染まる稜線が見られて良かったですが】

【黒部五郎岳と双六岳の間に薬師岳】

【黒部五郎岳と赤く染まる地平線】

【見とれる程赤い地平線でした】
 秩父平への下りでは、登りと同様にアイゼンを装着しました。時間がない時こそじっくり時間をかけてという感じでしょうか。急斜面の下りは心配していなかったのですが、その後のトラバースがやっぱり気になるところで、日が暮れて来て雪が締まって来ているように感じたのでなおさらでした。

 ただ、見える景色は本当に素晴らしく、正面に槍穂の稜線と大ノマ岳の斜面を眺めながら下って行きました。さすがに、登りで試行錯誤しましたので、下りはきれいにルートを取って戻って行きます。樹林帯に入ると再びアイゼンを外して大ノマ岳へ登り返して行きます。随所にある細くなった雪道に気を付けて、核心部のナイフリッジは一歩一歩足を置く場所を確認しながら進みました。雪が締まって沈み込みがなくなった分、登りの時よりも安定したように思います。ナイフリッジを通過してほっと一息をしつつも、まだまだ先はありますので、着実に戻って行きます。暗くなってみると意外と尾根の幅がありましたので、自分のトレースを慎重に確認しながら戻って行きました。

【左上に月も見えて】

【通過後にナイフリッジを振り返って】

【最後の夕暮れの写真 と言ってもこの後30分で戻っていますので暗がりで歩いた時間は意外と短かったでしょうか】

【テント内で静かに乾杯】
 大ノマ岳を過ぎてからが本当に長く感じました。これは、下りだからすぐ着くだろうと思っていたのと、この時間はもう真っ暗になっていたことによる心理的なものでしょう。とはいえ、着実に歩いていればいつかは着くものです。しかし、最後の最後に雪壁が待っています。当初は、雪も緩んでいるのでアイゼンなしで下るつもりでしたが、さすがに真っ暗で下が全く見えないので、アイゼンを装着して後ろ向きでゆっくり下ったのでした。

 夜の8時にようやくテントに戻って来ました。本当に長い1日でしたが、無事戻って来られたことに感謝して翌日の準備をします。しかし、先に書いたようにここからの水作りが結構時間がかかって参りました。疲労もピークに達していましたが、テント内でゆっくりして食事を取ったら、あとは寝ておけば大丈夫そうな感じでした。さすがに、寝る時間もほとんどない状態でしたので、夜景はいいかなと思ったのですが、少し星空を眺めつつ設定も適当に写真を何枚か撮ったのでした。こうして、日が替わる頃ようやく床に就きました。さすがにこの時間ですので、朝はそれなりの時間に出発できれば充分という感じでした。

【せっかくなので寝る前に槍穂の稜線と星空を撮影 きちんとセットしていないのでピントも構図も微妙ですが本当にきれいな星空でした】
 

【うっすらと染まる空と槍穂の稜線】

【夜が明けて来て】
 2日目の朝を迎えます。やはり、前日の夜が遅かったため、あまり早い時間に起きることはできませんでした。それでも、夜明け前には起きることが出来ましたので、大ノマ乗越で夜明けを見てから出発をしようと思っていたのですが、なんと乗越からでは御来光が見られないことがわかりました。仕方がないので、御来光は諦めて出発することにしました。

 このあたりは急な登り下りがあって一生懸命進んで行きます。早く夜明けの太陽が見られる場所に出たいなと思いつつ進んで行きました。振り返ると夜明けの太陽に照らされた大ノマ岳や笠ヶ岳方面の稜線が見えるのですが、なかなか御来光そのものは見えませんでした。しばらく進んで雪原に出てようやく夜明けの太陽を見ることが出来ました。太陽はすっかり出ていて既に御来光とは言えないかもしれませんが、槍ヶ岳との組み合わせはなかなかの景色でした。

【焼岳と乗鞍岳】

【徐々に光の当たる斜面】

【夜明け直後の太陽と槍ヶ岳】

【双六岳】

【雪解けが進むもまだまだ雪が多く残る稜線】

【槍穂の稜線】

【笠ヶ岳方面を振り返る】

【所々にあった雪原】
 その後も緩やかに下ったり登ったりしながら進んで行きます。雪解けは進んでいるものの、まだ雪道が大半でした。左手に双六岳を眺めながら進んでいると、昨秋見たいと思って見ることが出来て感動した鷲羽岳と双六小屋が見えて来ました。後は双六小屋に向かって下って行くだけだと思っていたのですが、ここから、この日の核心部とも言える急斜面のトラバースを経て、その後もいくつかのトラバースがありました。昨日の笠ヶ岳と違って全くトレースがないわけではないですが、歩く人は基本的に少なくて雪切りがされているわけではないので、足の置き方が難しいです。特に核心部のトラバースは、切れ落ちた東側の斜面がかなりの急斜面になっていましたので、特に慎重に歩いて行きました。結局ノーアイゼンで歩いてしまったものの、アイゼンを装着してもいいくらいでした。ただ、この時期は夏道が続くところもあるので、結局はすぐ外さざるを得ないので、アイゼン装着の判断が難しいところです。

【楽しみにしていた双六小屋と鷲羽岳の景色】

【核心部とも言えるトラバース】

【槍ヶ岳】

【双六小屋】
 いくつかのトラバースを経ると雪原に出ます。これをしばらく歩いて行くと双六小屋がありますが、現在は当然営業していません。ただ、双六小屋は少し離れた場所に冬期小屋があって、結構使われる方も多いようです。この日も2人程泊まっていたようですが、結局この2人がこの日大ノマ乗越から先で見かけた最初で最後の登山者となりました。

 少し写真を撮ったらさっそく双六岳に向かいます。登山道上の雪はまだまだ多いですが、小屋の裏手の登山道を登って行きました。登って行くと双六岳方面はべったりと雪が残っています。やがて巻道ルート、トラバースルートとの分岐を経て、稜線ルートを目指します。しかし、途中で夏道が雪上に切れて、その先には行く手を立ちはだかるかのような急斜面の雪渓が待ち受けていました。取付きはそれほどではないにせよ、上部は結構急斜面になっていましたので、雪が締まっていたこともあって、ここでアイゼンを装着してから登ることにしました。

【急斜面の登りは全て雪に覆われています】

【鷲羽岳は稜線には雪が少なくなりましたが中腹にはまだまだあります】

【急斜面の登り】

【少し下って西側にトラバース】
 一歩一歩慎重に登って行きます。振り返ってみるとそこまでの斜度ではないのですが、どうしても登っているととても急な斜面を登っているように思います。ある程度GPSを見定めて登ったつもりでしたが、ハイマツ帯に夏道が見つかりません。どこかハイマツを突破すれば夏道が見つかるかもしれないと思いましたが、さすがに思い直して、一旦下って西側にトラバースして登り口を探しました。直下は大岩があって、近くにクラックが走っていましたので、仕方なく大回りしながら歩いて行ったのでした。それでも、笹薮ならともかく、ハイマツ帯の突破はかなり難儀しそうですので、回り込んで正解でした。

 その後は、雪が多少残っている程度で、夏道を歩いて行きます。先ほどの登りでは振り返った時の鷲羽岳が本当に格好良かったのですが、この双六岳へ向かうほぼ平坦な道は振り返った時の槍ヶ岳の眺めが素晴らしいです。鷲羽岳と双六小屋の組み合わせと同様に大好きな景色の1つです。本当に少し歩く度に振り返りながら、素晴らしいロケーションを楽しんだのでした。

【手前の雪渓との組み合わせが見事な鷲羽岳】

【槍ヶ岳と西鎌尾根】

【抜戸岳〜笠ヶ岳の稜線と乗鞍岳方面 左手前には大ノマ岳】

【双六岳への道】

【どこまでも続く登山道と槍ヶ岳の構図】

【双六南峰のカール】

【双六岳への登り口同様に残雪の多く残る斜面】

【双六岳山頂】
 その後は左手の双六南峰にまだまだたっぷりと残った雪の斜面を眺めながら進んで行きます。最後は緩やかに登って行って双六岳山頂に到着です。素晴らしい景色が広がっていますが、やはりこの日に楽しみにしていたのは三俣蓮華岳からの景色ですので、景色を楽しむのもそこそこに先に進むことにします。

 少し下った後、広々とした斜面を下って行きます。シリセードをしても良かったのですが、結局しっかり歩いて下って双六岳をトラバースするルートと合流しました。帰路はこのトラバースルートを使う予定でした。その後は、雪のあるところやないところが断続的に出て来ると同時に、アップダウンが続きます。一旦下って登り返して終わりではなく、三俣蓮華までにいくつかのピークを越えていくような感じでしょうか。途中雪道を下っているとライチョウのつがいに会うことができました。ほとんど歩く人もない登山道の脇でのんびりと過ごしている感じでした。ちなみに、帰りにもほぼ同じ場所でのんびりと過ごしていて、これも登山者がほとんどいないことによるのでしょう。

【槍穂の稜線】

【堂々たる黒部五郎岳】

【薬師岳】

【双六南峰越しに抜戸岳〜笠ヶ岳】

【前日に登った笠ヶ岳】

【薬師岳をズーム】

【槍ヶ岳】

【穂高連峰】

【立山連峰と右に赤牛岳あたりでしょうか】

【水晶岳】

【野口五郎岳】

【緩やかに下って本道へ】
 
【三俣蓮華岳への稜線】

【振り返って槍ヶ岳〜双六岳】

【歩いて来た道を振り返って 】

【一旦下って登り返して行く 鞍部にライチョウも見えています】

【ライチョウ 帰路にも同じ場所にいました】

【黒部五郎岳分岐】
 その後もピークを越えて進んで行くとようやく三俣蓮華岳に到着です。アイゼンの脱着や雪道があったこともあって、思ったよりも時間がかかってしまったでしょうか。この日のうちに下山するとなると、結構遅い時間になりそうな時間です。

 山頂からは絶景が広がっています。この日は大ノマ乗越より先では双六小屋以外では人に会うこともなく貸し切りの山頂です。景色も素晴らしかったうえに、ここでもライチョウのつがいと会うことができました。じっと眺めていると微笑ましいものです。歩いている登山者も少なく会える可能性は結構あるかなと思ったのですが、思った以上に会うことが出来ました。ライチョウがハイマツ帯に隠れた後は、再び景色を楽しみます。どの方向の景色も素晴らしいですが、やはりここは鷲羽岳の眺めが見事でしょうか。この日に下るのでなければ、鷲羽岳に行くなり、ここで昼寝でもしていたい気分でした。

【三俣蓮華岳山頂へ】

【薬師岳と雲ノ平】

【黒部五郎岳〜北ノ俣岳】

【山頂にもライチョウのつがい】

【鞍部との雪原とのコントラストが見事な鷲羽岳】

【左奥の薬師岳から右奥の水晶岳までの眺め 中央付近は雲ノ平 その右のピークが祖父岳】

【黒部源流はまだまだ雪が多く】

【槍ヶ岳と硫黄尾根】

【三俣山荘付近は既に雪はなく】

【水晶岳から赤牛岳に続く稜線】

【赤牛岳】

【薬師岳と雲ノ平 どちらもまだまだ真っ白です】

【薬師岳〜雲ノ平〜水晶岳〜鷲羽岳の眺め】

【三俣蓮華岳頂上碑】
 実は鷲羽岳に行くかどうかは結構迷いました。翌日の日曜日の天気が思ったよりも良い方向になっていて、それならもう1泊してもいいかなと思ったのでした。ただ、それでも翌日は朝のうちは天気が悪そうでしたし、何よりこの日もこの三俣蓮華岳まででも結構疲れてしまっていて、鷲羽岳まで行ってしまうと、仮にもう1泊したとしても疲労困憊になってしまいそうでしたので、結局断念しました。朝は三俣蓮華岳までと軽く考えていて、行動食や水が充分でなかったこともあるでしょうか。正直、三俣蓮華岳山頂からの眺めとライチョウとの御対面で満足してしまったのもあるでしょう。

 この日中に下るとなれば、名残惜しくも下山開始です。大ノマ乗越からは基本的に下るだけでしょうが、それまでは稜線歩きですので、アップダウンの繰り返しになります。逆に帰路も素晴らしい景色が眺められるわけですが、徐々に空は灰色に染まって来ました。

【槍ヶ岳への縦走路と穂高連峰】

【双六岳へ戻って行きますがその手前をトラバースします】

【帰路は仲良く】

【緩やかに下りながらトラバースして行きます 勢いを維持するために一気に下らずに少しずつ高度を下げて行きました】

【急斜面のトラバースからの槍ヶ岳方面の眺め】

【トラバース道分岐まで戻って三俣蓮華岳〜鷲羽岳】

【双六岳への下りで突然飛び出て来たライチョウ】
 いくつかのピークを越えて戻って行きます。先にも書きましたが途中では登りで会ったライチョウに再び御対面することができました。先ほどはつがいがばらばらの場所にいたのですが、帰路にはそばでのんびりしていました。

 双六岳はトラバースして戻って行きます。先ほど山頂から下って来たあたりから、雪渓を思いっきりトラバースして行きます。最初は少し高度を下げますが、その後は下に見える夏道は気にせずに、ひたすら緩やかにトラバースして行きました。分岐に近づくと結構な急斜面になりますが、落ちても問題ありませんので、足を滑らせながらそのままノーアイゼンで突っ切って行きました。やがて、朝双六岳に取り付いた道から夏道に入って行きます。つまり、トラバースルートではなく稜線ルートから戻ったことになります。

 その後は双六小屋に下って行きます。途中で突然ライチョウが飛び出して来て驚きました。それはライチョウの方もそうだったようで、かなり慌ててハイマツの中に戻って行きました。

【双六小屋へ 右上が冬期避難小屋】

【残雪のコントラストと槍ヶ岳】

【核心部のトラバースは少し緩んで歩きやすく】

【帰路も槍穂の稜線を眺めながら】

【弓折岳山頂】
 その後は双六小屋から戻る際にあるいくつかのトラバースを気を付けて戻って行きます。時間帯的には程々に緩んで多少は歩きやすくなっていました。

 核心部のトラバースを抜けた後は、左手に見える槍穂の稜線を楽しみながら戻って行きます。昨年も歩いて景色を楽しんだこのルートですが、雪があると部分部分でしか場所は覚えていませんでした。徐々に大ノマ岳と笠ヶ岳への稜線が大きくなって行きます。大ノマ岳への急な登りが見えて来ると鞍部も近いです。

 結局午後1時前にようやくテントまで戻って来ることが出来ました。鷲羽岳に行っていたら鞍部の雪原で苦労したでしょうから、かなり遅い時間になっていたことでしょう。テントに戻ったら少し休憩をして撤収を開始です。てきぱきと撤収作業をしたつもりでしたが、軽く1時間以上はかかってしまいました。五竜岳の時は2時間かかっていましたから、それに比べれば短時間でできたでしょうか。

【昨日苦労した大ノマ岳の雪庇がよく見えています もう鞍部も近いです】

【いよいよ下山です この槍穂の絶景も見納め】

【急斜面を下る 前方にはこの日唯一会ったBCボーダーの方です】

【随所で崩壊していた小池新道入口】

【林道に立ちふさがる雪壁】

【わさび平小屋 座っている方としばし話をしました】

【ゲート前へ】

【土曜日の夕方でも相変わらずがらがらの駐車場】 
 撤収が済んだらいよいよ下山開始です。槍穂の素晴らしい眺めを最後に目に焼き付けて下り始めます。雪が緩んで来ていたので、ピッケルだけ持ってアイゼンは付けずに下って行きました。前方にはボーダーの方がいて、一旦抜きますが、その後はさっと滑って行かれました。他に弓折岳付近で引き返していたトレースがあって、その主の方をテントに戻ってくる際に見かけました。結局この日も上の方まで登って来られたのはこの2人だけだったようです。

 下りはやはり速くて快調に下って行きます。調子に乗りすぎて少し大回りしてしまいましたが、それでも結構なペースで下って来れました。ただし、小池新道入口の落石は明るい時間に見てみるとさらに迫力があって慎重かつ素早く抜けて行きます。

 その後雪壁を越えて行くとわさび平小屋に到着です。なんと、ここでこの日テントを張っているという方がいてしばし話をしました。昨年残雪期笠ヶ岳で怪我をされて今年は自重されているとのことでした。改めて気の引き締まるような思いでした。楽しいお話もそこそこに再び林道を歩いて夕方5時には戻って来ることができました。やはり下山時も登山指導センターには誰もいませんでした。
 雪山締めとして計画した今回の山行ですが、結果としては本当に行って良かったと思いますし、いい締めくくりになりました。ただ、日程は本当にハードで、これをのんびりこなせればもっと良かったことでしょう。短い行程を目一杯楽しんだ五竜岳とは対照的だったように思います。昨年の黒部五郎岳〜薬師岳のような静かでありながら北アルプスを目一杯感じられる山行をと思っていたのですが、昨年の山行が素晴らし過ぎてそれには多少及ばなかった面もあるかもしれませんが、充分すぎる程充実した山行になったのではないかと思います。来シーズンもこのような山行が出来たらと思います。


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